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当社が製薬企業として果たすべき大きな使命は、安全操業を基本としつつ、確かな品質の医薬品を効率よく安定供給することです。この役割を果たすため、原料の受け入れから製品の最終検査に至るあらゆる製造工程で「品質に異常がないか」、「薬事法・GMP※1に則り製造されているか」をそれぞれの製品のロットごとに複数の段階でチェックを行い、検査に合格した製品のみを出荷しています。
また、当社で生産された医薬品は、米国FDAや欧州EMAなど輸出国政府機関の承認を得て、世界各国に輸出されており、日米欧のGMPが当社の運用標準となっています。さらに、海外提携企業の監査、ICH(日米EU 医薬品規制調和国際会議)のガイドラインをはじめとしたグローバルレベルの厳しい品質基準もクリアする高い設備設計水準や品質保証体制を整えています。
グローバルレベルでの品質保証水準は、今後ますます厳格化していくと予想され、これらに対応するため、工場では新固形製剤棟をはじめ積極的に設備投資を行っており、生産部門・品質保証部門などの関連部門が一体となって、高品質の医薬品を提供する努力を続けています。
※1:Good Manufacturing Practice「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」
当社では鈴鹿、茨木、愛媛、大分の国内4工場での製造を基盤とし、国内外の委託メーカーとも連携して製品の安定供給体制を構築しています。
各工場では、営業本部との連携強化による生産計画の精度向上や物流機能の整備、さらには原薬のダブルソース化、製剤や包装サイトの最適化などバックアップ体制の構築にも積極的に取り組んでいます。
今後は安定供給体制の更なる強化に向けて、海外からの原料の調達や海外工場での製造など、グローバル化を視野に入れたグローバルサプライチェーンマネジメント(GSCM)を推進していきます。
| 鈴鹿工場 | 2008年にcGMP(米国の最新GMP)に対応した最新の製剤棟を建設し、グローバル対応の主力製剤工場として整備を進めています。工場内では原薬の製造から製剤工程・包装工程まで医薬品の製造を一貫して行う設備を整えています。 |
|---|---|
| 茨木工場 | 技術研究本部の主力拠点でもあり、製剤化検討から工業化、商業生産まで、新製品や新技術に柔軟に対応できる開発機動型の工場としての機能を有し、多種多様な剤形の医薬品を製造しています。 |
| 愛媛工場 | 世界でも有数の細胞培養設備を有し、バイオ医薬品の製造拠点としての機能を有するほか、コンテインメント対応施設での無菌注射剤製造も行っています。 |
| 大分工場 | cGMPに適合した原薬製造設備を有する原薬の基幹工場であるほか、高活性な原薬、製剤も扱いグローバルに製品を供給しています。 |
当社は、GQP※1を遵守した品質保証体制で、高品質で安全な製品を市場へ供給しています。各工場でGMPに準拠して製造された製品は、製造管理・品質管理記録の照査、製造工程で起きた逸脱※2や変更管理の適切な処理、さらに製品と原材料に関して収集された国内外の品質・有効性・安全性情報に問題がないことを確認した後に、はじめて市場に出荷されます。
また、国内外の各工場と原材料仕入先とはそれぞれ個別に品質取り決めを結び、タイムリーに必要な品質情報が入手できる体制を構築しています。さらに、これらの国内外の各工場と原材料仕入先については計画的に品質監査を実施し、適切な製造管理・品質管理レベルが維持されていることを確認しています。
一方、品質に関するクレームがあった場合には、クレーム内容を確認し、各工場で必要な調査・検討をするとともに、原因究明と措置対策を実施し、再発防止に努めます。また、これらの情報を様々な角度から分析し、さらなる再発防止対策の推進や製品設計などに役立てています。
※1:Good Quality Practice「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準」
※2:GMP上の用語で、予め定められた手順や基準から一時的に外れること
品質に関する医療機関からの問い合わせは、直接、MR(医薬情報担当者)が品質情報システムに情報を入力します。
このシステムには、安全管理部門、薬事部門、営業部門、製造部門、品質保証部門のメンバーがアクセスでき、安全面での評価、代替品の手配などに速やかに取り掛かることができます。該当する製品を製造した工場では、申し出のあった現品と同一ロットの保存品の調査、製造記録書の調査、現品の品質確認、発生原因調査、また必要に応じて再発防止策の立案を行います。また、本システムは情報検索機能を備えており、品目や期間ごとの発生傾向を解析することにより、同種事例の発生予防にも利用しています。
このように、品質情報システムは、迅速な調査と措置、問い合わせへの迅速な対応、ならびに同種事例の再発防止に役立っています。
医薬品が製造販売承認を受けて市販され、多くの患者さんにさまざまな状況の下で使用されるようになると、開発段階では予測できなかった副作用などが明らかになることがあります。このため、市販後では、医薬品の安全性や有効性について幅広く情報を収集・評価し、医薬品のベネフィットとリスクとのバランスを考慮した上で、適切な措置により医薬品の適正使用を推進することが重要です。また、適正使用の推進には情報を迅速に医療現場に提供することが必要です。
当社では、2010年度はこれらの活動をグローバルにかつ迅速に行うため、海外子会社を含めたファーマコビジランス(医薬品安全性監視)体制の再構築を行いました。複数国で開発または販売されている製品もあることから、安全性に関する情報を一元管理し、適切に評価し意思決定するためのグローバルな体制を新たに構築しました。
また、国内においては薬事法やGVP※1を遵守したファーマコビジランス活動を行い、医薬品の安全確保に努めています。2010年度は延べ35製品について添付文書の使用上の注意を改訂しました。
※1:Good Vigilance Practice「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準(製造販売後安全管理基準)」
当社では医薬品の持つ効力を有効かつ安全に発揮するよう、適正使用情報を迅速かつ的確に医療現場に提供しています。
通常の情報提供として、処方する医師・薬剤師(医療機関)の方々に対し、「使用上の注意改訂のお知らせ」を用い、どのように添付文書が変更になったのか、どういった副作用が起きたのかについて説明しています。また、医療機関から患者さんに説明するための資料として、「くすりのしおり」などを作成しています。主に薬の服用のしかたや、副作用が起きた場合の対処について記載しています。今後も、治療実態を考えたよりよい情報提供に努めていきます。
また、情報提供に加え、医薬品の安全性、有効性に関する調査を市販後に実施し、適正使用の推進に役立てています。調査にあたっては、GPSP※1を遵守し、適正に実施する体制としています。
※1:Good Post-marketing Study Practice 「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施に関する基準」
医薬品は、有効かつ安全に使用されるための製品情報を得てこそ、はじめて医薬品としての力を発揮します。当社は、製品情報の迅速かつ的確な提供が、顧客にとっての医薬品の価値向上にもつながると考えています。
当社では、2007年度に従来の製品情報システムを刷新し、新たな製品情報システムを完成させました。さらに、この製品情報システムを基盤に、2008年度からは製品情報検索システム「DI-SaGaS(ディーアイサガス)」の使用を開始しました。DI-SaGaSでは、社内の複数のシステムに分散する製品関連情報を一元的に検索することができ、検索結果が情報のカテゴリーごとに表示され、検索語がハイライト表示されるなど、情報活用のための様々な工夫が施されています。今後も、製品情報システムの充実に努め、顧客満足に繋がる情報提供をしていきたいと考えています。

当社の医療用医薬品に関する社外・社内からの問い合わせ窓口として「くすり情報センター」を設置しています。ここに寄せられる問い合わせは、医療関係者、患者さんやそのご家族、社内のMR(医薬情報担当者)からのものを合わせて一日当たり300件前後となります。
センターでは、対応のスピードアップや回答内容の充実と正確性を図るため、社内で構築している製品情報検索システム「DI-SaGaS」や他の検索システムを活用するとともに、「センター内FAQ」を運用しています。これは、よくある問い合わせに対してQ&A形式で回答を作成したもので、センター員全員が迅速かつ的確で一貫した内容の回答ができることを目的としています。また、問い合わせ対応結果を検証する「履歴承認システム」も導入しています。日替わりで承認担当者を決め、他のセンター員の対応履歴を「承認」、「要修正」の判断をしています。回答の内容を精査、担保することはもとより、他のセンター員の回答事例に触れることで個人のレベルアップも図れる仕組みとなっています。
またさらに、医療関係者からの問い合わせ情報は、対応の都度、担当MRや関連部署と共有しています。特に、質問内容や回答概要、回答に用いた情報源を担当MRにメール送信するシステムの導入により、担当MRとの情報の共有化、回答の整合性が図れ、医療関係者とその担当MRとの信頼関係の構築に寄与しています。
くすり情報センターではさらなる顧客満足の向上に結びつけるために、センターの「目指すべき姿」が顧客から「求められている姿」とぶれないように留意しています。
